緑内障とは
眼圧の上昇によって「視神経」が圧迫されて損傷し、視野が狭くなる病気です。
日本における失明原因の第1 位!
日本緑内障学会が行った調査(「多治見スタディ」)では
40歳以上の日本人における緑内障有病率は5.0%=「20 人に 1 人」ということです。
緑内障は、少しずつ見える範囲が狭くなっていくが、進行は非常にゆっくりなため、自覚症状がほとんどない。
緑内障の検査として、眼圧、眼底、視野検査など。
<正常な眼圧>
眼圧は眼の中の水(房水)の量によって決まります。
房水によって、眼に一定の圧力が保たれ、眼球の形状が維持されています。
この圧力が「眼圧」。
正常の眼圧は 10~20 mmHg 。
眼圧は1 日の間でも変動し、どの時間帯に高くなるのかというパターンに個人差が大きいです。
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緑内障治療の点眼薬は大きく分けて5種類
A:房水の排泄を促す物=プロスタグランジン系、炭酸脱水素酵素阻害薬
B:房水の産生を抑える=β阻害薬、α1阻害薬
C:両方=α2刺激薬
(1)プロスタグランジン(PG)系薬:房水の排泄を促す。
キサラタン、トラバタンズ、ルミガン、タプロス、レスキュラ
眼圧下降作用は一番強い。第一選択薬。
1日1回の点眼で済みます。
全身性の副作用は少ないが、局所の副作用は多い。
=点眼時の刺激感、充血、まぶたの色素沈着、まつ毛が太く多くなる、角膜上皮障害など。
*「まつ毛が太く多くなる」は喜ぶ人もいるそうです。
充血は点眼初期に目立つ副作用ですが、見た目だけの問題で、害はないです。
1ヶ月くらい点し続けると充血は徐々に軽くなっていきます。
充血は点眼して約8時間後がピークなので、寝ている間に充血ピークが来るように逆算して点すと良い。夕食後がお勧めで、就寝直前だと起床時に充血することになります。
まぶたの色素沈着は、まぶたに付着した目薬が起こす副作用です。
点眼後すぐ洗顔することで防げます。
洗顔できない時は濡れたおしぼり・ティッシュで拭き取りましょう。
朝の洗顔前に点眼するのもOK。
色素沈着はPG点眼を中止すれば2ヶ月ほどで元に戻るので、過剰に心配する必要はありません。
(2)β阻害薬:房水の産生を抑える。
チモプトール、ミケラン、ミロル、ベトプティック、ハイパジール
眼圧を下げる力が強い。
β阻害薬はもともと高血圧の治療薬として使われてきたものだが、眼圧も下げることがわかったので目薬として製剤化されました。
眼局所の副作用はやはり角膜上皮障害が多いです。
不整脈などの循環器疾患、喘息などの呼吸器疾患のある方が使うとこれらによる症状が悪化することがあるので注意が必要。
実際、喘息発作を誘発することがあり、喘息持ちの人は避けたほうが無難です。小児喘息で大人になってからは一度も発作を起こしていなければ大丈夫かも。
徐脈が問題になることもあります。
心血管系に影響があるのは確かですが、狭心症・不整脈・心不全などはβ遮断剤で治療することがあるくらいで悪影響は考えにくいと思います。
チモプトール(成分名:チモロール)と他の系統との配合剤
今日ではチモロール単独で使用することは少なくなっています。
◎PGとの配合剤=デュオトラバ、タプコム、ザラカム
◎炭酸脱水酵素阻害薬との配合剤=アゾルガ、コソプト
(3)炭酸脱水素酵素阻害薬(CAI):房水の産生を抑える。
エイゾプト、トルソプト
CAIは利尿剤として使われてきたものです。
脱水させて眼圧を下げるが、内服だと全身的に影響してしまうので、点眼薬が開発されました。
効果としては若干劣る印象はあるが、全身的な副作用を起こすことがほとんどなく比較的安心して使えます。
ただ、少し粘度があるためさし心地があまり良くなく、充血したり、しばらくかすんだり、さし残しがまつげについたままだと乾燥して白くこびりついたりすることがあります。
かすみ目など点眼後の違和感・不快感が主な副作用です。普通は我慢できる程度。
(4)α1阻害薬:房水の排泄を促す。
デタントール
α1阻害薬は比較的副作用の少ない薬ですが、効果があまり強くない。
そのためほかのタイプが使えない人や、追加での効果を期待する場合に用います。
*現在、使用は少ない。
(5)α2刺激薬:房水の産生を抑え、かつ、房水の排泄を促す。
アイファガン
アイファガンは2012年に発売された新しめの目薬です。
眼圧も結構下がり、視野保持効果もあるという。
副作用としてアレルギー性結膜炎・眼瞼炎は約1割の人に起こります。点眼開始直後には何ともなく、3ヶ月以上たってから起こる副作用なので、患者さんは目薬のせいだと気づきにくいです。
めまい、眠気、徐脈など全身の副作用が起こる点に注意が必要です。交感神経α2受容体刺激薬なので目以外にも影響するので。
以上が緑内障に用いる点眼薬でした。
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点眼薬の防腐剤について
防腐剤「ベンザルコニウム」は抗菌効果が高いため、すべての目薬の8割に添加されています。
長期にわたって何度もさし続けると角膜障害(角膜のキズ)が起こる。高齢者では特に起こりやすい。
緑内障の目薬は長期にわたって点し続ける。1種類だけでなく3種類くらい併用になったり。その結果、高齢者が長期間、毎日何回もベンザルコニウムを点眼し続けることになり、角膜障害を起こしてしまいmす。
最近は、角膜に影響の少ない別の防腐剤を添加した目薬が増え、細菌フィルター付の点眼容器を使うことで防腐剤を添加しない目薬も登場しています。
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